2022年2月22日(火)に谷田会 藤井 将志氏を講師に迎え、「谷田病院で(今のところ)人事評価を止めている理由」を、オンラインで開催しました。
セミナー詳細概要
講師のご紹介
特定医療法人谷田会 谷田病院事務部長 藤井 将志氏
特定医療法人谷田会 谷田病院事務部長
大学卒業後、医療経営コンサルティング会社を経て、沖縄県立中部病院・経営アドバイザーとして経営支援を行う。2015年から特定医療法人谷田会・谷田病院(熊本県甲佐町)の事務部長に着任。まちづくりを進める一般社団法人パレットの理事。2020年に医療環境総研㈱を立ち上げ、オンラインサロン病院事務の知恵袋を始める。
セミナー開催レポート
セミナーの申し込み時に、医療機関での働き方改革についてのお悩みをたくさんいただきました。
- 他病院の人事評価事例を知りたい。
- 効果的な人事評価制度の構築に取り組みたい。
- 職員のモチベーションをどうやって維持したらいいか知りたい。
藤井様は、これらのお悩みをふまえてご講演を行ってくださいました。
50分のセミナーの内容を、一部ご紹介します。
1. 合格点の人事評価
まず、一般的な人事考課の手法や事例をおさらいしました。(個人目標と自己評価表など)
2.給与というインセンティブ
次に、谷田病院様でのJMAT・地震や台風への対応を例として、給与・手当の面を振り返りました。給与は「ほとんどの人は満足することが無い」・「良くなり続けないとならない」・「他人と比較されて必ず不満につながる」という性質を持ちます。
3.人事評価再考
人事評価の目的や評価手法について、藤井様の考察を共有しました。「1.合格点の人事評価」で紹介した人事考課の手法以外にも、一般企業で昨今取り入れられている手法や考え方を、実際に病院に取り入れたときにどうか?という論点もありました。
4.谷田病院の現状と未来
最後に、考察をふまえて谷田病院様での取り組み(教育研修費の考え方・資格手当・教育制度・院長ヒアリング)をご紹介いただきました。期末賞与やありがとう賞与という新しい取り組みにも、現在チャレンジ中ということでした。
質疑応答
藤井様には、寄せられた質問に時間いっぱいご回答いただきました。どの質問に対しても、病院様での現状をふまえて回答されていたのが印象的でした。
当日いただいたご質問の一部を、抜粋してご紹介します。
- 院内での比較以外に、職員の確保や採用でも、比較されやすいのが給与や福利厚生なのかなと思っています。採用や職員確保の部分で、何か貴院で工夫されていることはございますか?
- 医者の人事評価については、どのように考えていますか。
- 各部署ごとの人事考課については、引継ぎ等スムーズに行えるものですか?異動先の評価方法に難色を示されるケースや、新しい上長の方針が変わったりするケースなどありますでしょうか。
- 目標設定は、個人のスキルにより必ずしもフェアにするのは難しいと思います。いろいろありそうですが、どのような調整をするのがよいのでしょうか。
参加者アンケートより
セミナーにご参加いただいた方の感想を、一部抜粋してご紹介します。
- 本日のセミナーとても面白く、うんうんと頷きながら拝聴させていただきました。
- 当院でも行われている人事評価や多面評価の意義や疑問をよく感じており、取り組みに共感できる部分が多々ありました。非常に今後の参考になりました。
- 人事評価に時間がかかること、人対人であり全てにおいて平等や不満がなくなることはないという部分に強く共感できました。とても興味深いお話でした。
- 大変参考になるセミナーありがとうございました。また、見逃し配信もいただきありがとうございます。
- 当院も似たような問題があり、大変共感しながら見させていただきました。
おわりに
改めまして、ご参加いただいたみなさま、ご講演いただいた藤井様に心よりお礼申し上げます。
セミナーのご依頼時に、「人事考課に関するテーマ」をお願いしておりました。
実際にテーマ・内容をいただいた際に、大変驚き、皆様同様に興味を掻き立てられました。
私自身も、自社での年2回の人事考課のたびに、心のどこかで「何のための人事評価なのだろう」「人事評価って活きているのだろうか」と思っていました。その一方で、人事考課自体について意味や目的を深く考えることもありませんでした。
今回のセミナーでは「人事考課は何のためにすべきなのか」という問いかけの答えを、病院様の本音ベースで教えていただきました。その問いや答えに至るまでの実際の経験・取り組んだ施策も印象に残っています。
どこか遠くの先進的な企業や、教科書通りの講習・セオリーではなく、リアルな現場での感覚を共有していただけて、「人事考課」というものがぐっと身近に感じたセミナーでした。
皆様からいただいたご意見も参考にしつつ、今後もオンラインセミナーを開催していく予定です。
「こんなセミナーを聞いてみたい」・「普段の業務でこんな悩みがあるんだけど」というご意見がございましたら、ぜひお寄せ下さい。